胡蝶蘭
「店長、鋭いんだな。」


「舐めんな。
で、吐け。」



はい、と誓耶は頷くしかなかった。



最初は大切なところは隠しておくつもりだったのに、店長はそれを許さなかった。



茉理子に偉槻との関係をばらした場面の台詞まで、覚えている限り口を割らされた。



もう、最後には誓耶も観念し、ほぼ自分の意思で話したぐらいだ。



「…ったく、お前は喧嘩っ早いのをなんとかしろ。」


「悪い。」


「謝られても困るんだよ。
それにしても、やらかしたなおい。」


「うん。」


「うん、じゃねんだよ。」



バシッと頭を殴られた。



誓耶は唖然と店長を見つめる。



「なんだ、俺が優しいとでも思ってたか。」


「うん。」


「馬鹿野郎、そんな甘くね…。」


「優しいね。」



は?と店長は気の抜けた返事をする。



誓耶はにこにこと笑った。



「何笑ってんだよ。」


「別に。」



嬉しい、と言ったら呆れるだろうか。



こんなにも優しい怒り方をする人、見たことない。



さすが、偉槻が信頼している人だと思った。




< 268 / 366 >

この作品をシェア

pagetop