胡蝶蘭
一人笑っている誓耶に参って、店長が大人しくなった。



「ほら、お前、そのだな…。
笑われるとこっちの調子が狂うんだが…。」


「へへっ。」


「まったく、もう…。」



店長は頭を掻いて黙ってしまった。



「っとに。
まぁ、またあの女はなんかしてくるだろうから、気をつけろよ。
もう、面も関係も知られてんだ、用心しとかないと危ないぞ。」


「はい。」


「俺は厨房にいるから、なんかあったら来いよ。
絶対に一人でなんとかしようとか思うなよ。」


「わかったよ。」



何度もくどく言い聞かせ、店長は戻って行った。



残された誓耶は、ふうっと肩の力を抜いた。



初めて怒られた…。



怖かった。



…でも、同じくらい嬉しかった。



「にひっ。」



一人で笑って、ポテトに手を付ける。



まだアツアツだった。



「うまっ!」



さくっと上がったポテトには、やっぱり塩が合う。



指を油だらけにしながら、誓耶は無心にポテトにがっついた。



あ、夕飯食べれなくなるかな。



ま、いいや。



偉槻のぶんも残しとけば、いいよな。



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