胡蝶蘭
かける言葉が見つからず、偉槻は無言で誓耶のシャツに手を伸ばした。



前襟の部分のボタンを力任せに引きちぎられ、もうシャツとして機能してない。



偉槻は自分の服を脱いで、破れた服のまま着せた。



誓耶は唇を噛んで、俯いている。



上も下も、服装を整えてやった。



そのあとも、沈黙は続く。



たまらなくなって、偉槻は乱暴に誓耶を抱き寄せた。



「悪い…。」



謝るしかない。



悪い。



本当に、ゴメンな。



ぎゅうっと抱きすくめる。



そのうち誓耶もゆっくりと偉槻の背中に手を回し、泣き出した。



わあっ、と大声で泣く。



しゃくりをあげ、今まで聞いたことのないくらい大声で。



偉槻はただ、抱きしめていた。



偉槻の目からも、涙がこぼれる。



ゴメンな、本当に。



怖い思いさせてゴメンな…。



「偉槻、偉槻!」


「なんだ…。」


「助けて偉槻!」



誓耶は嗚咽する。




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