胡蝶蘭
助けて、という誓耶の悲痛な声。



耳にこびりついた。



「ゴメンな…。」



偉槻はぐっと目を閉じた。



誓耶は声をあげて泣き続ける。



うわぁ、という声が公園に響いた。



「帰ろう…。」



なんで俺は車を持っていないんだろう。



こういうとき、誓耶を歩かせるのは本当に酷だ。



誓耶は泣きながらも懸命に立ち上がる。



それをみて、偉槻は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



そうだ、店長に連絡しなきゃ。



偉槻はポケットからケータイを取り出した。



手短に、見つかったということだけを伝え、礼を言い、電話を切った。



すぐに折りたたんでポケットに戻す。



だいぶ収まった誓耶は、ゆっくりと足を引きずるように歩いている。



「背負うか?」



聞くと、誓耶はやはり首を振る。



「やっぱ、乗れ。」



背中を差し出すと、戸惑っていたが遠慮がちに乗っかってきた。



そして、偉槻の首にぎゅうっと顔を押し付ける。



偉槻は誓耶に見えないように顔を歪めた。



もう一粒、涙が頬を伝う。



誓耶に気づかれないようにそれをぬぐって、偉槻は早足に歩き出した。



















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