胡蝶蘭
「偉槻。」



鼻をすすって、誓耶は偉槻を呼んだ。



「ん?」


「あたしを嫌いになった?」


「なんで?」



なんでそんなこと思うんだよ。



偉槻は思わず身体を起こした。



布団がめくれ、誓耶が寒そうに身体を震わせたので慌てて横になる。



「なんで?」


「気持ち悪いって、思わない?」


「何に?」



誓耶は答えない。



偉槻は優しく誓耶を引き寄せた。



「思わねーよ。
好き。」


「あ、好きって言ってくれた。」



へらっと誓耶が笑う。



なんだよ、いつも言ってんだろ。



「いくらでも言ってやるよ。」


「やだ、値打ちが下がる。」


「じゃあ、ほどほどに。」



もっとこっち来な、と誓耶を引っ張ると、誓耶は偉槻の胸に顔を埋めた。



「寝ろ。」


「うん。」



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