胡蝶蘭
誓耶は唇を尖らせた。



いっつも偉槻は未成年だと言う。



だから、何?



「この人、あたしの信頼してる人だから。
大丈夫だから。」



叔母は、誓耶を探るような目で見ている。



「貴方の、お友達?」


「うん。」



敢えて関係は明かさない。



彼氏だなんて言ったら、問い詰められそうだ。



「本当に?」


「うん。」


「そう。」



一瞬、怒ったのかと思ったが、次の瞬間、叔母は微笑んだ。



え、と誓耶掠れた声を出す。



偉槻がそっと誓耶を見た。



「よかった、私、貴方から友達紹介されたことなかったから。
そう、貴方も信頼できる友達がいたのね。」



まあ、それはあたしだって友達くらいいるさ。



「ちょっと年上みたいだし、男に人だから心配したけど。
………気分悪くなったら早く帰ってきなさいね。」



少し怖い顔をして見せ、叔母は後退りするようにして家に入って行った。



拍子抜け。



あの人、笑ってた。





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