胡蝶蘭
誓耶は信じられない気持ちで彼女を見つめた。



よかった、なんて。



そんなこと言われるだなんて思いもしなかった。



あっさりと許された外出。



誓耶はぽかんと口を開けて突っ立っていた。



「よかったな、お前。」



偉槻がぐりぐりと誓耶の頭を撫でる。



「やっぱり叔母さんはお前のこと心配してたんだぞ。
もっと早くにお前が心開いてやればよかったな。」



誓耶は無言でこっくりと頷いた。



「行くか。」



偉槻は手に持った煙草をきちんと携帯灰皿に押し込み、誓耶の背中を押した。



「どこ行きたい?」


「偉槻の家。」


「昼飯の話だよ…。」



呆れて偉槻は笑って、誓耶の手を取った。



「よかったな。」



向けられた笑顔に、誓耶は久し振りの笑顔で答えた。















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