胡蝶蘭
唸りながらケータイを開くと、いつも通り茉理子からだった。



“今日会えない?”



またこのメールだ。



2日に一回は必ず。



偉槻はいつものように無理だとだけ打って、返信した。



付き合ってくれと言った覚えはないのだが、向こうは結婚を前提に付き合いを始めているらしい。



予想以上に付きまとわれて、偉槻のストレスは限界だった。



また、着信。



“怒るわよ”



怒りマークの絵文字つき。



偉槻ははあっとため息をついた。



ここで怒らせたらまた誓耶になにかされるかもしれない。



そう自分に言い聞かせて、偉槻は待ち合わせ時間を送った。



今日は運送の仕事だから、6時くらいが妥当だろう。



夕飯は食ってこいと、送る。



奢らされるのはまっぴらごめんだ。



向こうも偉槻の機嫌を窺っているのか、おとなしく了承した。



パチンとケータイを閉じ、偉槻は呻いて起き上がった。



久々の運送の仕事。



朝から動くのは、キツイ。



習慣づけておかないと、大変だ。



偉槻は体中の骨をボキボキいわせながら着替え始めた。



















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