胡蝶蘭
Two.

ジュウニガツ








あの出来ごとがあった日からどれだけ経ったんだろう。



取り敢えず、寒くなった。



コートを着始めた。



クリスマスツリーが、飾られた。



…匡の機嫌が悪い周期に、突入した。



「めりーくりすます。」



誓耶はベッドに横になったまま、呟く。



暖房のかかった部屋。



脱ぎ散らかされた服。



裸の自分。



そして、着替えている匡。



「何か言った?」



答えず、窓から見えるイルミネーションを指でなぞる。



Merry Xmas



サンタが笑ってる。



あたしにはサンタなんか来ないけどね。



「誓耶もクリスマスなんかに興味あったんだ。
なんか意外。」



ぎしりとベッドが軋んだ。



匡の身体が、隣に横たわる。



「彼氏出来た?」



と問うてすぐ、匡は吹き出した。



「って、いないよね。
いたらビックリだよ。」



そう言って、誓耶の髪を撫でる。







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