胡蝶蘭
Two.
ジュウニガツ
*
あの出来ごとがあった日からどれだけ経ったんだろう。
取り敢えず、寒くなった。
コートを着始めた。
クリスマスツリーが、飾られた。
…匡の機嫌が悪い周期に、突入した。
「めりーくりすます。」
誓耶はベッドに横になったまま、呟く。
暖房のかかった部屋。
脱ぎ散らかされた服。
裸の自分。
そして、着替えている匡。
「何か言った?」
答えず、窓から見えるイルミネーションを指でなぞる。
Merry Xmas
サンタが笑ってる。
あたしにはサンタなんか来ないけどね。
「誓耶もクリスマスなんかに興味あったんだ。
なんか意外。」
ぎしりとベッドが軋んだ。
匡の身体が、隣に横たわる。
「彼氏出来た?」
と問うてすぐ、匡は吹き出した。
「って、いないよね。
いたらビックリだよ。」
そう言って、誓耶の髪を撫でる。