胡蝶蘭
ソファーに座って隣を指さすと、慎吾はいそいそとやってきた。



「どの辺?」



慎吾は無言で肩を指さす。



誓耶はゆっくりと力を入れた。



「あ゛ー、そこそこ。」


「お前、おっさんみたいだぞ。」


「おっさんでも構わねーよ、気持ちいい…。」



喜んでる?



誓耶はふわりと微笑んだ。



今まで自分が何かをしてもう側だったため、慎吾が喜ぶ姿をあまり見なかった。



なんか恩返しみたいだ。



喜びがこみあげてくる。



これくらいで今までの借りがチャラになったとは思わないが、何か恩返しができたと思うと嬉しかった。



「お疲れさん、だな。」


「おう。
見てろ、今度はしっかり続けるからな。」
つかめてきた


何を見てろなんだ。



続けるのは自分のためなのに、慎吾の中ではどれだけ続けられるかが勝負になっているらしい。



まぁ、それで燃えるのなら勝手にしてくれだ。



「仕事、上手くいってる?」


「ああ、まあな。
だいぶ要領つかめてきたしな。」


「そりゃ、よかった。」



でも、身体は壊さないでほしい。



誓耶は肩を揉む手に力を込めた。



慎吾は気持ちよさそうに力を抜く。





< 88 / 366 >

この作品をシェア

pagetop