桜の季節
だめだよ。

だめ。





私には、直樹がいるもん!






直樹……、
早く逢いたい………。


逢いたいよ…。




それから、私をギュッ、ってしてよ。


ギュッ、ってするだけでいいから……、お願い…。














私は、廊下を歩きながら、頭の中でぶつぶつ言っていた。










ドンッ!







「キャッ!……ご、ごめんなさい!」



私はそれだけ言うと、立ち去ろうとした。







だけど、引き戻された。



腕をつかまれてたみたい。





「君……あの時の………ここで逢えるとか、嬉しいんだけどっ!」





私、さっき男の人と、ぶつかったのは、覚えてる。




だけど、他に逢った事ある?




私は相手の顔を見つめ、そして、目を見開いた。











どうして、ここにいるの……?










私は、後ずさりをした。







あの時、どんなに怖かった事か………。












「そんなに、びっくりすんなって!俺だよ、俺。夏祭りにキスしようとした奴!」

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