初恋の向こう側
「カナダ行きの件は、逢坂さんから誘ったんですか?」
気になってることをストレートに口に出した。なんて返ってくるかドギマギしながら。
それに対し逢坂さんが「気になる?」って余裕の顔を向けてきた。
それを見て“イイ奴そうじゃん”なんて思ったことを撤回したくなる。
──アンタはヒロが好きなのか ?
一番尋ねたいことはそこにあるんだ。
気になる?か …….。
なんて反応したらガキだって思われないのかな?
そんなことを気にしてる自体、やっぱ俺はガキなんだろうな。
「気になります」
真っ直ぐに視線を向けると、逢坂さんは眉をちょっと下げて言った。
「そういうとこ、うらやましいよ。
安心してよ? 誘ったのはこっちからじゃないし茉紘ちゃんからでもない。
偶然だったんだ。俺が毎年参加してる短期留学のコースと彼女が自分で申し込んだものが一緒でね。成田で会ってわかったんだ」
「そうですか」
少しの安堵と、まだ残る疑問。
その後者をどう探ったらいいかと悩み始めた俺に、逢坂さんから答えを出してくれた。