初恋の向こう側
「小学生だったけど、選抜にも選ばれて」
俺の中の何かが、ふつふつと沸き始める。
「中学行ったらユース受けたいって、あの頃言ってたよね?」
それに、冷静に説明できるような大人にもなっていない。
「学校の部活どころか、クラブチームも辞めたなんて」
ヒロの口が止まらないことに我慢できなくて「あのさ」と声を張った。
ゆっくりと顔を向けたヒロに、僅かに語気を強めて言い放つ。
「ユースどころか、トレセンにも入れなかったんだよ」
「え」
「そんな素質、最初からなかったんだ。
海外留学したいとかJリーガーなりたいとか……所詮、夢は夢だったんだよ」
そうだよ。俺はまだほんのガキだ。
だから、ちゃんとした説明なんてまだできっこない。