妖恋華

しかし、そんな期待も虚しく――――――

「この村は妖達を外の世に出さないため結界に覆われているの。…村の中から外に出ることは出来ないわ。」


「そ、そんなこと…!信じられるわけ………」


そんな現実味のない話を信じろと言うほうが無理な話だ。

乙姫もつい声を荒げてしまった。

しかし、華紅夜は動じない。それどころか彼女の瞳から放たれる威圧感に乙姫のほうが畏縮してしまうくらいだった。





「今日はこのくらいにしましょう。あなたも一度に沢山のことを聞かされて疲れたでしょう?」



静かすぎる居間に華紅夜の声だけがこだまする。

「青、あなたは夕飯の仕度を。虎太郎、あなたは乙姫を部屋に案内してちょうだい。」


青は“はい”と一言返事して部屋を退出した。
虎太郎も軽く返事を返した。

二人の返事を聞いて、華紅夜は無言のままスッと立ち上がり、部屋を退出していってしまった。

彼女の纏う空気が冷たく感じたため、乙姫は話し掛けることができなかった。




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