木苺の棘
バス停の灰皿に、貴方は
煙草を捨てた。

「すまない、無理だ
 
 モカ、同伴の件は
 サトルに任せてある・・・」

巽・・・

貴方の手に、触れながら
私は想った。

どうして、私のこと
モカって、呼ぶの・・・?

嫌だと何度言っても
アリスと本名で呼び続ける貴方
に、そう言わなくなってから

貴方は、もう、ずっと
私のこと、本名で
呼んでいたのに・・・

それは、昨夜の私が原因?

帰ってしまうのも

それが・・・

「モカ、聞いてるのか?」
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