木苺の棘
肌蹴たシャツから覗く
左右の胸から肩に蠢く
二頭の龍。

その龍に触れようと
伸ばした手。

「アリス、危ない」

貴方は、さっと煙草を持つ
手を遠くに離した。

私は、そっと貴方に
触れる。

そして、貴方の首に両手を
回して抱きついた。

貴方の声・・・

何だか、いつもよりも
頼りない。

「アリス、お前に
 俺の全てをやる代わりに
 
 俺の傍に
 居てくれないか?」
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