木苺の棘
私の気持ちは、もう
決まってる。

「いいよ、タツミ
 貴方が私に愛をくれるなら
 私の全てを貴方に捧げる
 
 何があっても
 貴方に付いていく」

私の言葉に、ほっとした貴方
は、私の背に回した腕に
力を込める。

強く強く、私を抱きしめて
囁いた。

「ありがとう」

私は、本当の貴方を知らない

貴方は、生と死の狭間で
辛うじて生きている。

誤れば、目の前に広がる
死の世界。

貴方は、また私の前から
消えてしまった。

ありがとうの

言葉を残して。
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