木苺の棘
『仕事が片付いたら
 一緒になろう』

私は待つ、貴方の言葉
を信じて・・・

巽が迎えに来てくれる
その時を、ずっと
待ち続ける。

貴方は必ず、私の元に
戻って来てくれる。

だけど、それから一月

待てど暮らせど、貴方は
私に逢いに来てはくれない。

私はまた、貴方に
捨てられたの?

『店、辞めろ』

私は今も、この店で
働いている。

今日、最後のお客様を
見送って、お店に戻る私を
ママが呼び止めた。

「モカちゃん
 この後、ちょっと
 いいかしら?」 
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