木苺の棘
たまき先輩は、上体を起こす
とベッドから離れようとした
私の体に、両腕を絡ませた。

背中に、貴方を感じる。

「たまき先輩?」

「レン、レンでいい
 
 ・・・アリス
 俺に隠れて泣くな」

私は、貴方の腕に
そっと触れ、深く頷いた。

「レン・・・」

「うん?」

「やっと、呼べる
 あなたの名前
 嬉しい・・・
 
 レン、好き」

『レン・・・』

私は、八重のように
貴方の名を呼ぶ・・・

八重のように・・・

私達は、見つめ合い
おはようのキスを交わす。
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