木苺の棘
その瞳を、私は怖いと感じた。

私を力ずくで押し倒し
覆い被さる貴方

二人は口づけ合う。

それは、さっきまでとは違う。

他人のように冷めたい口づけ

冷たくて冷たくて
私の唇が、心が氷りつく。

貴方の優しさはどこにも無い。

「やめて」

貴方は決してやめよう
とはしない。

私の腕に食い込む
漣の、五本の指。

ぎゅっと私の腕を掴む。

痛くて、千切れそう・・・

赤く、赤く染まる腕・・・

貴方の口づけから
私は、顔を逸らす。
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