観念世界
願ったり叶えたり
『願ったり叶えたり』


 洗いたてのお洗濯物の匂いにつられて歩いてきますと辿り着いた先にありましたのは広い草原、一面にシャボン玉が浮かぶ七色の世界でございました。

 見渡す限りにほわほと浮き上がる無数のシャボン玉は小さいものから大きなものまでありまして、足元に生えている草から生まれているようでした。
 草の先についた雫がぷくうっと膨らみ、シャボン玉になって、ぴんっと草を跳ね上げながら離れ、ゆっくりだったり、早かったりしながらお空に向かって浮き上がるそれらは、小さな虹を湛えながら様々に辺りを埋め尽くしておりました。
私の周りで生まれ、ゆらゆらと動き回るシャボン玉を見ておりますと、そこには何かがぼんやりと映っておるのが見えましたので、私は神経がギリギリと痛むまで目を凝らしてそのシャボン玉を一生懸命覗きこんでみましたら、中に何やら入っておるようでした。

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