自伝
地下鉄の入口に入ろうとした瞬間だった

「綾!」

「?」

グレーのBMWが私の横に止まった。

「早瀬さん!?


「俺初めて待ち伏せしたよ(笑)なんかドキドキするな(笑)まっ、とりあえず乗れよ」

「はい… 」

正直 驚いた。
まさか、明後日に退院するはずの早瀬さんが、今私の目の前にいる。

しかも、私がいつ来るか分からないこの場所で…。

ひとまず車に乗った
「渋谷でいいかな?」

「はい…
早瀬さん…退院明後日じゃなかったんですか?」

「予定はね」

「大丈夫なんですか?」

「大丈夫じゃないよ」

「えっ!?」

「綾があんな事言うの初めてだったし、俺もあの後結構悩んだりしてたんだぜ」

「すみません…でした」

「謝ることはないよ
俺の方こそ、綾が辛い時にそばに居てあげれなくてゴメンな…」

今日…別れるのかな…

…私たち

「綾…」

「はい…」

「俺の事どう思ってるの?」

「私は早瀬さんの事
とても、大事に思ってます。色んな意味で、沢山の事をこんな私に教えてくれましたしね(笑)」


しばらく私を見つめてから


「俺は本当に綾が必要だし、愛してるんだ。勝手なのは充分わかってる。
でも、もう止められないんだ…」

私の考えとは全く違う答えにかなり安心した。


「私も早瀬さんに会いたくて会いたくてどうにかなりそうでした…」


「良かった。もう綾に会えない気がしていたから、ホッとしたよ(笑)病院に無理言って早く退院させてもらって良かった」

ありがとう…早瀬さん

そんなに、大切に思ってくれてたんだ。
< 61 / 284 >

この作品をシェア

pagetop