空の彼方の君へ。
「お前ら、朝っぱらからうるせーよ!」
「疾風!」
廊下側の窓からピョコっと疾風が出て来た。
まあ、佐奈と一緒にテンションが上がってたからね・・・・・・。
会ってそうそう注意してきた疾風に苦笑いしておいた。
「で?何で騒いでたんだ?」
疾風はこの前貸した教科書を私に渡しながらそう聞く。
「好きな人と付き合えたんだ!」
ニコニコしながら言う私とは正反対に、疾風の顔はどんどん暗くなっていく。
な、なんで!?
佐奈のほうを見ると、あちゃー、って顔をして疾風を見ている。
その間にも疾風は暗くなっていって・・・・・・。
「へー沙希に彼氏かぁ〜。へー」
なんて言ってついには壊れた。
「は、疾風!もうすぐ授業はじまるよ!クラスにかえった帰った!」
「おお、そうする・・・。沙希に彼氏・・・」
焦ったように言う佐奈に乗った疾風は、同じことを何度も言いながら自分のクラスに戻って行った。
疾風がどうしたのか佐奈に聞こうとしたら、ちょうど先生が入って来て佐奈に逃げられてしまった。