かけがえのないキミへ
ようやく現実の世界へと戻ってこれた。
『え…あの遥斗?』
『なに?あの遥斗って?』
遥斗さんは笑いながら、俺を見る。
遥斗さんに見られると、緊張が絶えない。
『俺…知ってます。遥斗さんのこと!すげぇ!本物だ!』
徐々にテンションが上がっていく。
だって、憧れていた人だから。
『面白いね、君名前なんていうの?』
『城谷怜です』
『よろしくな、怜』
遥斗さんはゆっくり俺に手を出してきた。
俺は遥斗さんの手に自分の手を絡まらせた。
繋がれた二人の手。
遥斗さんの手の温もりが温かくて、遥斗さんも温かい人なのだと、この時思った。
『じゃあ、準備しよっか。スタイリストさん、よろしくー!!』
遥斗さんは俺の手を握ったまま、スタイリストらしき人がいる場所まで俺を運んでいった。
向かった場所には、化粧道具を持っている、女の人がいた。