かけがえのないキミへ


静止状態のまま、時間は過ぎていた。
俺が止まっていたんだ。突然のことで理解が出来ない。


『橘…遥斗…?』


『そう。遥斗でいいから。ちなみに歳は今年で20。今は19だけど』


どこかで聞いたことのある名前だ。
俺は過去を辿っていく。

橘…遥斗…
遥斗…遥斗…


…いつだったかな?
学校の休み時間のときに、竜也がいつも読んでいるメンズ雑誌をたまたま見たら、ある人に目が止まった。


『これ、だれ?』

表紙を飾っているのはあるモデル。
すごくかっこいい人だった。


『これは遥斗だよ。今一番人気があるモデル。俺すげぇ憧れてるんだ。かっこよすぎだろ?』


竜也は興奮しながら遥斗のことについて話していた。
俺はしばらくその表紙を見て、彼に釘付けになっていた…。


今目の前にいるのは、まるで表紙から飛び出した遥斗。
いや、遥斗本人だ。



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