かけがえのないキミへ
遥斗さんは子供に戻ったかのように、無邪気な笑顔を見せながら、ブランコを漕いでいた。
『一目惚れ…かな?』
『俺を?そんな、有り得ないですから…』
苦笑いをして、嬉しさを噛み締める。
憧れの人からそんなこと言われたら、嬉しくなってしまう。
『俺となんか似てるって思ったんだ』
『遥斗さん…と?』
『うん、怜は今好きな人いるだろ?』
こう言って漕ぐ足を地面につけて、俺を見つめた。
カメラのフラッシュが俺たちを包み込む。
『…います…』
『諦めてるだろ?』
遥斗さんが言うことが図星で、言葉に詰まってしまう。
諦めている自分がいた。心の中で、諦めている自分が。
『諦めんな。俺も諦めてたけど、自分の気持ちに正直になったんだ』
ふと遥斗さんの薬指を見ると、シルバーのカルティエのラブリングがはめられていた。