かけがえのないキミへ
夫は気が済んだのか、隣の部屋に行ってしまった。
もうこんな生活、終わりにしなければ、綾音や私の命が危なくなる。
私はいつも使っている鞄を取り、その中から可愛い袋に入ったあるモノを取り出した。
『綾音、これで外に行って遊んで来なさい。お母さんが迎えに来るまで、少しの間、遊んできて。ね?』
綾音の手にそれを握らせて、背中を押した。
『シャボン玉…お母さん、ばいばい…』
そう、私が渡したモノはシャボン玉だった。
クマの絵がついた綾音が好きそうなシャボン玉。綾音の小さな手が数回私に向かって振られ、綾音は家から出て行った。
こんな生活を終わりにする。
愛していた人と、サヨナラを告げる…
私は一呼吸し、夫がいる隣の部屋に入って行った。
綾音は深く傷を負った。私も深く傷を負った。
でも綾音は、強い子だから、一人で抱えていた…