かけがえのないキミへ
今でも夫が綾音に言った言葉が鮮明に蘇ってくる。
部屋の中に入ると、お酒をグラスに注いでいる夫がいた。
『あなた、もう終わりにしましょう』
一度愛した人と別れるのはとても辛い。
だけどもう限界なんです。
あの頃のあなたはどこに行ってしまったの?
私を抱いてくれた時に、優しい言葉を言ってくれたあなたは今どこ?
『愛してる』と言って抱きしめてくれたあなたはどこ?
綾音を授かったときに、飛び上がるほど喜んでくれたあなたは…?
綾音が生まれたとき、綾音を抱いてくれたあなたの表情は…?
綾音が初めて喋ったとき、急いで会社から帰ってきてくれたあなたの父親の姿は…?
全て過去のこと。
でも私は幸せだった。
些細なことでも幸せだった。
あなたを愛したことを後悔などしていない。
あなたを愛して良かった。
あなたに抱かれて良かった…
あなたと過ごしてきた日々は一生の宝物…