かけがえのないキミへ
幸せな家庭を築き上げられなくて御免なさい。
私は夫の顔を見ることが出来ず、離婚届を夫から取り上げて、寝室に行った。
真っ暗な寝室。
離婚届を見ると、夫の欄に、夫らしい字が書かれていた。
繊細で、きれいな字。
繊細さは綾音に遺伝をしている。
『…御免なさい…』
謝りの言葉は夫になんか届いていない。
当然綾音にも…
私は自分の荷物と綾音の荷物をまとめて、この家から出て行った。
夫と過ごしてきたこの家を。
なにも言わずに、夫にサヨナラと言わずに、
私は愛していた人と、
永遠の別れをした─…
泣き疲れた体を引きずりながら、綾音を捜す。
田舎だから、道は緩やかで、私の進むべき道を示してくれる。
近くなる海。
反射する海。
潮の独特の匂い。
白い砂浜─…
そこにちょこんと座る少女。
少女から立ち上る、キラキラとした丸いモノ。