かけがえのないキミへ
俺の耳に響くのは、ただ虚しいだけの電話の切れた音のみ。
俺は耳から携帯を離して、携帯を見つめて首を傾げた。
『梨花のヤツ、意味わかんねぇ…』
ベッドに横たわり、天井と向き合わせになる。
そして頭を掻きながら、独り言を呟く。
『あと少し…』
自分でも分かる。
光が射す場所まであと少しだと。
でもまた俺に波乱が巻き起こる。
明日の朝…眩しく輝く朝が、一気に暗くどんよりとした朝に変わる…
…今日はいろいろと疲れていたのかもしれない。
だからぐっすりと眠れたのかな?
今日の夢は、綾音と一緒に暮らしている夢だった。
今と変わらないのだけど、一つ違うことがあった。
それは、俺が綾音に『おはよう』と言うと、綾音は笑顔になり、俺に向かって『おはよう』と言ってくれる。
口ぱくでもなくて、
紙に書いたわけでもなくて、綾音の声で…俺に『おはよう』って言ってくれたんだ。