かけがえのないキミへ


『いない、か…』


俺はがっくりと肩を落として、ベンチに座った。
まだ体には先生との行為で出た汗がべたついている。


俺はカッターシャツの胸元をぎゅっと握り、先ほどのことを思い出しては、後悔をする。


『くそ…』


あのことを消したくても、消えなくて…
先生とひとつになった余韻がまだ残っていて…


俺はバカだな、と思わせる。


今日は月が雲に隠れていた。
眩しいくらい鮮やかな黄色が薄暗い雲に隠れてしまっていて…


こんな俺、見たくない?

まるで、俺の存在自体を拒否しているようだった。
月にも嫌われて、世界にも嫌われて…

悲しみが込み上げる。


いつか、好きな人と付き合いたいと…


いつか、好きな人と肌を合わせたいと…


いつか、幸せになりたいと…



こう夜空に向かって投げかけた願いたち。


いつか……綾音と─…





< 71 / 370 >

この作品をシェア

pagetop