another story
警察の取り調べには、
「人とぶつかり、落ちそうになったところを先輩が助けてくれた。」

そう“さゆりちゃん”が言っていた通りに答えた。


何故“さゆりちゃん”が、
誰かに押された、ということを言わなかったのかはわからない。

けれど私も、そのことを誰かに言う気にはならなかった。


それは、私自身どこかで信じられなかったからかもしれない。
誰かが“私”を殺そうとしたなんて。

そして、大好きな人を二度も失うなんて。



眠れない夜が明け、
私は学校に向かった。
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