another story
突然ぽつりと、小さな声で“三枝ほたる”がつぶやいた。

彼女は弱々しく、悲しげな目で私を見ている。

だけど私が目を合わせると、怯えたように目をそらす。


そんな仕草に苛立ちを覚えながらも、
その質問に対する言葉を探していた。


それでもどうしても、言葉が出てこなくて、微笑みを作って、それを答えにした。

“三枝ほたる”はそれをみるとすぐに顔をそらし、うつむき、それきり何も言わなかった。


それから購買についても、
お昼ご飯を買っても、
教室に戻る途中も、
うつむいたまま、何も話さない。


けれど、彼女は突然廊下で立ち止まった。


「あの、
今日、屋上で食べない?」
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