another story
振り返ると、彼女は立ち止まりぼんやりどこかを眺めている。

その視線の先には階段があった。

ここをそのまま昇っていけば、屋上がある。
私が“あの日”、落ちた屋上。


「今日は、天気が良いから、きっと気持ちいいよ。」

階段を見上げたまま、私に向かってつぶやいた。


そうか。
“あの日”、“私”から
“さゆりちゃん”を屋上に誘ったんだ。


「うん、良いよ。
行こうか。」
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