another story
“お母さん”は言葉通り、高校生にもなった娘の髪をとかしてくれた。


私はお礼を言って家を出て、学校へ向かった。

学校に行くには、おそらく電車を使うのだろう。
部屋にあった通学用の鞄に、定期が入っていた。

家から駅までの道がわからなかったので、携帯で調べながら駅に向かった。

この携帯も、部屋にあったもので、“私”のものではない。

“大谷さゆり”が持っているのを、見たことがある。



『ほたるちゃん、アド交換しよ。』


“さゆりちゃん”の声と笑顔が頭に浮かぶ。
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