君に恋した瞬間、
「なんつーか・・そのな?」
俺の慌てて出てしまった言葉を杷仔が繰り返す。
少し揺らいでいる瞳が、俺の心を震わす。
「・・・でもまぁ、可愛いんじゃ・・ねぇーの?」
俺には良く分かんねぇーけど、俺の周りの奴らが言ってた。・・と自分の素直な気持ちを隠した。
だってさ?
普通言えないし・・・。
可愛いだなんて好きな奴に堂々と・・それに杷仔は俺の事なんとも思ってないのに俺が変に期待するかもしれないし・・。
素直になんか・・言えるかよ。
「え、え!本当!?あたし、嬉しい!誰が言ってたのー?お礼言わなきゃ~!!」
頬を染めて、それを両手で隠すように覆う杷仔。
・・・嘘に決まってんだろ?お前の事可愛いって思ってんのは、俺一人で十分なんだよ。
悟れよ・・・。
自分勝手な思いが、一気に心を乱す。