男と女
「好きだった男の子にそんなこと言われたら、すごく悲しかったと思うよ。」
「………。」
『最もだ。』
……そう思った。
俺は今になって、柴崎に対して本当に申し訳ないという気持ちがわいてきた。
(あのときは流石に言い過ぎたな……。)
ヒナの言葉でやっと目が覚めたのかもしれない。
「ヒナは、今の話聞いて…俺のこと嫌いになったか?」
「え?」
我ながらなんて女々しい質問してんだ。
「う〜ん。」
顎に人差し指を当てて考え込むヒナを、ちらみすることしか出来ない。
「やっぱり、その女の子が傷つくようなこと言ったのは酷いと思う。」
その言葉が、俺の胸に刺さる。
「でも、栄輝がその子を嫌いだったんなら、誰でも好き嫌いはあるし…それはしょうがないんじゃない?」
ああもう俺は初めて会ってここでヒナに嫌われ……………………ん?
「……『しょうがない』?」
「うん。好きって言われたら好きって言い返さなくちゃいけない決まりなんてないでしょ?」
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