雨の雫
その時、俺は何を父に
いい放ったのか。

覚えていない。。


───包丁を握りしめていたのは
明確に覚えている。。



次の瞬間、
親父は………。。




最期の時をむかえていた。


自らの手で。。

俺がやった訳じゃない。


でも………。。俺は。俺は。

こういうことを人にしようと
していたんだ。。

しかも、血の繋がった人間に。。


───親父は確かに俺の
事を考えていたのだと
親父が亡くなってからようやっと
気付いた。俺の親父の愛情は
俺を【束縛】するということで
表していたんだ。。

もう………少し、
親父の事を知っていれば……。
俺が……親父の事をわかって
いれば………。。



なんだかんだいって
いい親子だった。。


───けれど親父は
戻ってこないのだ。



俺のせいで。





俺は殺人は犯していない。

──けど
俺は犯罪を犯したんだ。。。


【殺人未遂】

だけど、その事が公に
なる訳はなかった。

親父は自らの手で最後を
うったのだ。。


【自殺】なのだ。


──俺の事を考えての
行動だったのだ。。


さっきまで

溢れていた涙。
泣き叫んでいたのに


──それはピッタリ止まった。



俺は泣けなくなった。


──その時から

もぅ、どん底をみることは
ないような気がしたから。。

どんな辛いことでも
このことよりも……
辛いことはない気がしたから。



──でも……ひとつだけあった。




美奈にフられたことだ。


その事は美奈の前なので
とじておいた。。


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