いつか、桜の下で…



…?


中庭に行くと利人君しかいなかった。



「………」



利人君は、私に気付いていないのか、そのまま立っているだけ。



一目見ただけでも、悲しい表情をしてるってわかるほど、利人君は、元気がなかった。



話し掛けて、いいんだよね?



私は、戸惑いながらも足を動かした。




『…………て…』




数歩、歩いたとき女の人の声が聴こえた。



香織、さんだ…



私の中で香織さんは、まだ生きてる。


そして…何かを利人君に伝えたいって、強く願っている。



『体を…貸して』



香織さんは、私にそう言った。


けど、どうすれば香織さんに私の体を貸すことができるのか、私にはわからなかった。



「幸村さん?」



三浦君の声がする。



もしかして、三浦君なら知ってるんじゃ…



「三浦君…香織さんに体を貸す方向、知ってる?」



三浦君は、ためらいながらも頷く。



「教えてっ!」
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