魔王に捧げる物語
「俺は、その男の体験や蓄積した知識をそのまま蓄えてる。
だから稀に“夢”を見るよ。
彼の記憶は俺にとって過去ではない、他人の経験だからね」
「……ニルはニルってこと?」
「そう。ミラが見る夢とは違うけど、それが俺の見た夢だよ」
きっと混乱してる。
視線をあちこちに向けているから、
それでもいつか………わかってくれればいい。
こうして誰かと一緒に横になり、夢の話が出来るとは魔王であっても想像の域を越える。
もっと、いろんな事を知って、離れられなくなるくらい知ってくれたらいい。
ニルはそっとミラの手を離し、
中途半端にかかっていた羽布団を彼女の肩まで上げて、
おやすみ、と話を切った。
今日は抱きしめて眠れたらいいな………と思いながら。
暖まる事のなかった布団は、ミラが来てからポカポカになった。