魔王に捧げる物語
少しづつ落ち着いたミラに、ニルが意味ありげな視線を向けた。
その視線はミラに……というより印に向けられている。
彼の力を半分持っていると言われても、自覚はまったくない。
魔法が使えた試しなどないし、そもそも魔法がどういうものかも彼女にははっきりとわからず。
どうやったら、それを彼に戻せるのかさえ見当もつかない………。
ミラは視線に耐え兼ねて言った。
「わたし、魔法を使えたことないよ?
力みたいなものも、自分じゃわからないの。
どうやったら力を返せるのかわからないよ………」
あるべき物はあるべき場所に戻るべきだとは思う。
手段はわからないけど……、とニルを伺う。
すると、
「ミラは器となってるから、力自体を使うことは出来ないよ。
力を感じないのもそのせい、」
少し乱れた彼女の髪を優しくすきながら言った。
でも……、
と言葉が続く、
「……美しさも魔力の一つ、他者を魅了する事こそが魔力の内だ。
その点はミラに十分に当てはまるよ」