魔王に捧げる物語
「わたしは………望んでこうなったんじゃない!」
「傲慢ね。私が欲しいものを全て持っているというのに、
私はあの方の妻になる事を夢見てきたわ。
幼い頃からずっとあの方だけを想っているの!
あなたなんかよりずっとあの方の事だって知ってるわ」
ああ、目眩がする。
怒りの他にも弾けそうな何かがあった。
胸が痛いがミラは言い返す、
「わたしは全てなんて持ってない!
あなたがどんな夢を見ててもいい。
ニルを知ってるなら……」
ぐっと言葉が詰まった。
この人は幼いころずっと彼と過ごしてきたの?
妻になるって言い出せるほど想ってる……。
自分の知らない彼をよく知ってて………、
いろんな事が頭に浮かび、もやもやしたものが重く溜まっていくのがわかった。
すごく、気持ちがわるい。
なに………これ?
苦しくなって、ミラは会話も途中で投げ出して部屋を飛び出す。
イリスはミラを呼び止めなかったのがせめてもの救いだった。
行く宛てなんて考える余裕もなかった………。