魔王に捧げる物語
窓の外は、常識的にあり得ない景色が広がっていた。
時間的に夜なのに、燃えるように赤い空が広がり、所々が欠けて黒い空。
魔方陣のような金の円や、文字か記号がサラサラと雲のように流れる。
地上はどこまでも白い雪が積もって緑を隠し、色という色を奪っていた。
真夜中なのに昼間のように明るく、それなのに世界はひどく暗い。
絶対的な静寂は雪が積もる音さえ伝えず、ただただ………異様な景色だった。
絶句するミラをギュッと抱き、ニルは無表情で言った。
「定理が崩れた世界………。命が死に絶える禍、
長い時間で柱が限界に達し、小さな衝撃でも溢れてしまった。
瞬きの間にたくさん死んでいくよ」
「ダメ!そんな……!」
「北が崩れたなら、他も時間の問題だ。
…………ミラ、ここから出てはいけないよ?」
ニル…………?
額に頬があたり、強く抱きしめられる。
閉じ込められながら、何かが頭を過った。