魔王に捧げる物語



檻はエリュオンをだけを捕らえ、一瞬すぎて何が起きたのかわからずに怒りも忘れ呆然としてしまう。



雪の中に紛れるほど白い羽がはらはらと舞い、光を散らして“それ”は現れた。

人間離れした白髪、真冬の景色にも関わらずの軽装。

柔らかくはためく何対もの純白の翼。


横に開く紫水の瞳孔。





「カイン………?」



確認するまでもないが、呟きに反応してそれがこちらを見た。



ミラを見た瞬間楽しげに微笑む。



「やぁ、なんかあぶなっかしいから来ちゃったよ。

私は間に合っているかな?」




「………どうして?」




ミラの横に浮いてクスクスと笑う。

彼は他の事をしていたのではないのか?


一体どうしてここに………?


考え込むミラにカインは少しだけ首を傾げた。



「ヒーローは遅れて登場すると聞いたけど?」




何を言っているんだ……。

空気を読めないのか、わざとなのかもうわからない。

エリュオンさえも間抜けな表情で彼を見つめている。





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