魔王に捧げる物語
怖いけど、何か変わるかもしれない。



考えた末に閉じた目を開くと、目の前にいたはずのイシュの姿がない。



え…………っ??



キョロキョロと周囲を見渡すが、やはりいない。



後ろを振り返っても、豪華な扉しか見当たらない。


音一つなく忽然と消えてしまったようだ。


独りぼっちになって更に不安を感じる。


チラリと大きな鏡を見るが、変わった様子なく不気味なまま。





どうしよう………。





未だ悩むが、結局決めるのは自分で……、



震える足になんとか力を込めて鏡の方へ小さく歩き出した。



たいした距離ではないのに一歩一歩がとても長く感じて、



ようやく鏡の前にたどり着いた時には、着慣れないドレスや踵の高いヒールにすっかり疲れてしまっていた。


< 30 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop