魔王に捧げる物語




ギュッと瞑った目を恐る恐る開くと、



また違う場所にいるらしく、吹き抜けになっている廊下にミラはいた。


周囲を慎重に見渡すと。

上の階にいるのか、階下には中庭があり、夕刻の陽射しに橙色に染まっている。


それを見て、彼女に疑問が浮んだ。


いくら時間が経っていたとしても、日が傾くほどではなかった………。


中庭には真っ白な百合が、十字路の中心にある噴水を囲むように咲き乱れている。



驚いたのは、



中心にある噴水の飛沫が時間を止めたかのように、下に落ちる瞬間のまま止まっていた。


小さな水の粒も浮いたまま、

風もない、



僅かな音さえない静寂。





< 32 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop