魔王に捧げる物語
ギュッと瞑った目を恐る恐る開くと、
また違う場所にいるらしく、吹き抜けになっている廊下にミラはいた。
周囲を慎重に見渡すと。
上の階にいるのか、階下には中庭があり、夕刻の陽射しに橙色に染まっている。
それを見て、彼女に疑問が浮んだ。
いくら時間が経っていたとしても、日が傾くほどではなかった………。
中庭には真っ白な百合が、十字路の中心にある噴水を囲むように咲き乱れている。
驚いたのは、
中心にある噴水の飛沫が時間を止めたかのように、下に落ちる瞬間のまま止まっていた。
小さな水の粒も浮いたまま、
風もない、
僅かな音さえない静寂。