魔王に捧げる物語
えっ……?
えっ…??
冷えた風が全身を撫でる。視界がぐっと広くなる。
ニルは手すりに腰をかけて、落ちていくミラを見つめている。
足のつく場所がない、
どんどん近付く地面。
スーっと恐怖に血が下がった。
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!」
いや、
いや、
怖いっっ!!
もう駄目だ、そう思ってキツく目を瞑った。
その瞬間、風が止んだ。
???
ゆっくりと目を開くと、足がぶらぶら浮いている。
自分が空を飛ぶ事は叶わないはず、
恐る恐る下を見ると、お腹の辺りに腕が通っていて、その頼りない一本だけで身体が支えられていた。
心臓が激しく動きすぎて、呼吸が上手く出来ない。
苦しいけれど、少しでも動くと落ちてしまうかもしれなかった。
「……ニ………ル?」