魔王に捧げる物語
「外見だけじゃないさ、………いつも余を少年の頃に戻してくれる雰囲気、だろうか」
「…………」
「あの頃は毎日が楽しくてしかたなかったよ」
そう年をとっているわけでもないのに混じる白髪が、これまでの苦労を物語っている。
ニルにとって瞬きの様な時間も、人間には世代交代にもなっているのだから。
「クラウディオ、過ぎた過去に浸る事を悪とは言わない。だが、人は未来を目指し、進化と繁栄を繰り返し滅びる種だ………どう考えるも自由だが、魔王とお前は違うものだよ」
皇帝はニルの言葉に苦笑いで頭を掻く、
「有難い言葉だ、その通りだろう。余も変わってしまった……あの頃には、戻れない」
「そうだね……」
この庭園も、苦労して維持しているのだろう。
ニルの目から見ても変化はほとんどない。