魔王に捧げる物語
「……………?」



無言で何度か瞬くと、ひどく申し訳なさそうな顔がニルを見た。


「愚息が………君に接触しようとしている、」



ああ、そういえば。
と、思い出したように頭の中で閃いた。


見たことはないが、考えるだけで勝手に情報は入ってくる。



「それで?」




「恐らく、目的は魔王たる者が収束する魔力」





ああ、




愚かだ、救いようもなく。

どれ程の力かも人の想像が及ばないというのに、



そういった人間は不思議といつもどこかに現れる。




「悪いが、容赦はしないよ………例えお前の子だとしても」



「……」



「害するなら、滅ぼす事となる」



「わかった」



「魔王は如何なる者の支配も受けない」



「理解しているとも……」



皇帝の悲痛な顔も、ニルは無視した。
無視しなければならなかった。
むしろ忠告こそが最大の配慮、賢人である彼ならば気付いているだろう事を思って。





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