魔王に捧げる物語
それを聞いてミラは思わずニルの服をギュッと掴んだ。


怖くて、何も言えないけど……やめて欲しかった。


彼らはとても怒っている。それでも、人を殺す事をしないでほしい。



気付いたらしいニルに優しい手つきで頭を撫でられていると、


「ニル、そういえば何を抱えているの?」


と、カインが不思議そうに翼の奥を凝視した。


思わずビクリと肩が跳ねる、


「…………人」


「ふーん……。ねぇ、こっち向いて?
君、ずっとこの状況でニルに隠れてたけど、私達は二の皇子をけじめとして殺すべきかな?」



何故か楽しげにミラの答えを求めた。

人の命をなんだと思っているのだろうか……、
そっとニルを見上げると面倒そうな顔をしている。


緊張しながら振り向くと、意味深な笑みを浮かべた白い魔王がミラを見つめた。


背筋に嫌な汗が流れる、蛇に睨まれるような気分だ。


ニルよりずっと危うい雰囲気、弧を描く口元が続きを紡いだ。



「そう、君だよ。お嬢さん………?こういった問題は元凶の意見をもらうべきだ」





< 83 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop